アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎は、季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎とにわかれます。どちらも、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状があり、それらが続くことで、夜、よく眠れず睡眠の質が低下したり、集中力が低下して仕事や勉強に支障をきたしたり、疲れやすくなったりといった生活への悪影響を及ぼしてしまうこともあります。

季節性アレルギー性鼻炎は、いわゆる花粉症のことです。スギ花粉症が有名でが、スギ以外にも、1~5月の春のシーズンにはスギに加えてヒノキ、初夏から秋にかけてはイネ科の植物、8~10月にはブタクサと、ほぼ1年中、季節性アレルギー性鼻炎の原因(アレルゲン/抗原)となる花粉は飛んでいます。人によって反応する花粉は異なりますが、これらの花粉の飛ぶ季節に合わせて発症するのが季節性アレルギー鼻炎です。

一方、通年性アレルギー性鼻炎は、原因(アレルゲン/抗原)としてハウスダスト(ダニの死がい等)、カビ、ペットの毛などがあり、季節によらず発症するものです。日本人の約4人に1人が通年性アレルギーであると言われています。

アレルギー性鼻炎は、アレルゲンが鼻の粘膜に付着することで、体内に抗体が作られ、再びアレルゲンが侵入してくると、マスト細胞からヒスタミンなどのアレルギー誘発物質が放出され、それがヒスタミン受容体と結合することで、様々なアレルギー症状が現れるものです。対策としては、なるべくアレルゲンを近づけないことが大切で、外出時にはマスクや眼鏡を着用し、帰宅後はうがいや手洗いを励行、部屋はこまめに掃除をするなど、日々の生活から気を付けていくことが大切です。

アレルギー性鼻炎の薬による治療としては、抗ヒスタミン薬などにより鼻などの症状を緩和する対症療法のほか、舌下免疫療法など、アレルゲンに少しずつ体を慣れさせることで、アレルギーを発症しにくくする免疫療法もあります。当クリニックでは舌下免疫療法を行っていますので、お気軽にご相談ください。

舌下免疫療法のページ

副鼻腔炎

副鼻腔とは鼻の周辺にある上顎洞、篩骨洞、前頭洞、蝶形骨洞と呼ばれる空洞のことで、それぞれ左右に一対ずつ存在し、計8つの空洞が鼻腔と細い管でつながっています。これらの副鼻腔内の粘膜が、ウイルスや細菌の感染などで炎症おこしたものが副鼻腔炎です。突然発症し、短期間で治癒する急性副鼻腔炎と、それが3カ月以上続いてしまう慢性副鼻腔炎があります。

急性副鼻腔炎は、急性上気道炎(いわゆる風邪)などから起こることが多く、1週間くらいたってから症状が現れます。まず鼻腔に炎症が起こると鼻の粘膜が腫れ、鼻腔と副鼻腔をつなぐ穴が塞がってしまいます。すると粘液などが排出できなくなり、粘液にウイルスや細菌が繁殖して膿が溜まり、副鼻腔に炎症が起こります。

副鼻腔に膿が溜まると、腫れて目や頬の周辺に痛みを感じるなどの症状があらわれます。また鼻水と一緒に膿が出てくるため、黄色くねばねばとした鼻水がみられるようになります。風邪が原因となるほかには、アレルギー性鼻炎や気管支喘息、咽頭炎や扁桃炎、虫歯などでも副鼻腔炎が引き起こされることがあります。

急性副鼻腔炎では、ほとんどの場合、抗菌薬や消炎剤の服用により、2週間程度で治癒します。しかし悪化すると目に炎症が及んだり、髄膜炎を発症したりするので注意が必要です。副鼻腔炎の症状が3ヶ月以上続く場合は、慢性副鼻腔炎と診断されます。慢性副鼻腔炎の場合は、マクロライド系抗菌薬の服用や去痰剤の服用、鼻の中を洗って膿を出し、膿を残さないようにする鼻洗浄(鼻うがい)などで、約7割の方が軽快します。

薬物治療でもなかなか治癒しない難治性の場合、また目や脳に症状が出た場合は、手術による治療を検討します。現在主流となっているのは内視鏡を用いた手術で、鼻腔と副鼻腔を大きくつなげて分泌液などの流れを良くし、炎症性の物質の排出を促すものです。当クリニックでは、手術が必要と判断した場合は、速やかに連携する高度医療機関にご紹介いたします。

鼻茸

鼻茸(はなたけ)は正式には鼻ポリープと言い、形状がキノコに似ていることからこの名前があります。鼻の中に生じ、主な症状としては鼻づまりがあります。鼻茸は慢性的に炎症が起きている場合に、鼻の中の粘膜が変化し、ポリープが形成されることが多く、そのため、慢性副鼻腔炎と併せてみられることが非常に多くなっています。

副鼻腔炎の中でも、好酸球によって起こる好酸球性副鼻腔炎では両側の鼻の中に複数の鼻茸ができやすくなっています。好酸球性副鼻腔炎は喘息などのアレルギーを持っている患者さんがかかりやすく、再発しやすいと言われています。気管支喘息を合わせて起こしたり、感冒薬に含まれるアスピリンで喘息を起こしたりする(アスピリン喘息)ことがありますので注意が必要です。

鼻茸は初期には症状が無いこともありますが、大きくなっていくと、鼻詰まりのほか、におい感じにくくなったり、味が分かりにくくなったりします。治療としては、好酸球性副鼻腔炎でない場合は、マクロライド系の抗菌薬やカルボシステインなどの粘液溶解剤の点鼻薬や内服薬を用いて炎症を抑えます。

好酸球性副鼻腔炎による鼻茸ではステロイドが有効ですので、点鼻薬によるステロイドの局所投与が検討されます。好酸球のはたらきを抑える抗ロイコトリエン薬を用いることもあります。

薬物治療で効果が得られない場合は、内視鏡を用いたポリープの除去手術が検討されます。ただし、副鼻腔炎が改善されないと鼻茸の再発の可能性があるため、同時に副鼻腔炎の手術もおこないます。当クリニックでは、手術による治療が必要と判断した場合は、連携する高度医療機関をご紹介させていただきます。

嗅覚障害

嗅覚障害とは、においがわからない、または弱くなったと感じるもので、本来とは違うにおいを感じる場合も嗅覚障害と言えます。「におい」というものは、空気中のにおい物質が鼻と脳の間にある嗅細胞を刺激、嗅細胞は嗅粘膜にあり、嗅神経に繋がって電気信号となり、大脳前頭葉の嗅覚中枢に伝わることで認識されます。嗅覚障害は、この経路のどこかに障害が起こって、においの情報が伝わらなくなることで起こります。

匂いの伝達経路のどの部分に障害が起こったかによって、嗅覚障害は「気導性嗅覚障害」「嗅神経性嗅覚障害」「中枢性嗅覚障害」に分けられます。

「気導性嗅覚障害」は、副鼻腔炎やそれに伴う鼻茸、アレルギー性鼻炎による鼻づまりなどでにおい物質の通り道が塞がれ、嗅細胞に届かないことで発症します。原因となる病気が改善されれば、嗅覚を回復することができます。

「嗅神経性嗅覚障害」は、頭部外傷などで嗅神経が障害されたり、風邪などのウイルスの感染で嗅細胞が破壊されたりすることで発症します。障害の程度によって自然に回復する場合もあれば、そのまま障害が残ってしまう場合もありますので、早めの治療が重要です。

「中枢性嗅覚障害」は、頭部外傷の他、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、さらにはパーキンソン病やアルツハイマー型認知症など、脳神経に異常が起こる病気が原因のものです。

近年では、新型コロナウイルス感染症による嗅覚障害が注目されています。そのメカニズムはまだはっきりとは解明されていませんが、感冒のように、鼻炎症状により嗅細胞までにおい物質が到達できない可能性や、ウイルスによる直接的な神経の障害、あるいは神経周辺にある細胞への障害により神経の機能が阻害されていることなどが考えられています。

嗅覚障害の治療は、その原因によって異なり、まずその原因となっている疾患を改善することが重要になります。当クリニックでは、丁寧な問診を行い、早期に適切な治療を進めて参ります。またコロナウイルス感染症の後遺症に対して効果があると言われているEATを行っておりますので、お困りの方は是非ご相談ください。

鼻血

鼻血は鼻出血とも言われ、外傷など鼻への何らかの刺激が原因となり、出血を起こした状態のことです。主に原因としては、打撲や鼻の中をいじるなどの刺激、アレルギーや感染症などによる炎症、腫瘍、血小板減少症、血友病、肝臓疾患など出血しやすくなる疾患、血を固まりにくくする薬の服用などが挙げられます。

鼻血はあまり心配しなくてもよいものがある一方、原因によってはなるべく早く医師の診断を受けた方がよいものもあります。

鼻血の多くはキーゼルバッハ部位と呼ばれる、鼻の前方(入り口付近)での出血が多く、全体の約9割を占めています。この部分の出血は、静脈からのものか多いため、指で押さえ圧迫することなどで、比較的止血がしやすくなっています。方法としては、座った状態で顎を引いて、小鼻を両側から10−20分ほど指で圧迫するというものです。

出血の勢いが強かったり、鼻の奥の動脈からの出血だったりする場合は、上記の方法で止まらないことがあります。その際は医療機関を受診しましょう。動脈からの出血は、鮮やかな赤い色の血液が勢い良く出てくるのが特徴で、喉に至ることも多く、血管を焼いて止血するなどの医療機関での処置が必要となります。

受診の際は、服用している薬剤や、他の疾患の有無、以前に何らかの検査をしたことがある場合その結果などを、分かる範囲でお伝えいただくと診療がスムーズになります。