中耳炎

中耳炎

中耳炎は大人もかかる病気ですが、子どもではとくに多く見られます。その理由は、鼻・口と耳をつなぐ「耳管」が、大人と比べて太く、短く、さらに耳からのどまでの傾斜が緩く、平衡に近い角度のためと考えられています。

もともと中耳炎は、鼻風邪から始まり、鼻の奥に溜まった病原体が耳に侵入して炎症を起こすものですので、鼻から耳に病原体が移動しやすい子どもは、中耳炎に罹りやすいと言われています。また子どもは鼻の粘膜の免疫力がまだ未熟なため、鼻風邪にかかりやすいことも、中耳炎を発症しやすい原因となっています。

ちなみに中耳炎は、耳の外側(外耳)から病原体が侵入して発症することはほとんどありません。ですので、プールやお風呂の水が耳から入って中耳炎になるということは基本的にはありません。ただし、中耳炎を発症しているときは、悪化する可能性がありますので、お風呂やプールを避けるようにし、再開時期については医師にご相談ください。

子どもの中耳炎の症状としては、急に片方の耳に強い痛みを感じるなど、基本的には大人と変わりませんが、まだ言葉でうまく症状が伝えられないため、注意してみていく必要があります。保育園児や幼稚園児では、度々鼻風邪をひいていると罹りやすいと考えられています。

乳幼児の場合、しきりに耳を触ったり、頭を振ったりする場合があります。また急に高熱を発症することもあります。その場合、夕方から夜にかけて発熱したり、機嫌が悪くぐずったりすることが多いようです。鼻風邪をひき始めてから4~7日後に発症しやすいとみられています。

中耳炎の治療としては、軽症であれば、消炎鎮痛剤を用いて様子を見ます。3日間程度経って痛みがなくならなかったり、鼓膜の状態が悪化していたりする場合は、抗生剤を使用します。膿が溜まって腫れている場合は、鼓膜を少しだけ切開(鼓膜切開術)して溜まっている膿を排出すると治りが速くなります。

中等症、あるいは重症の場合は、抗生剤を5日間使用します。効果がみられない場合は、抗生剤の量を増やすか、種類を変更して10日間、服用するようにします。それでも改善しない場合はさらなる抗生剤の変更や、点滴による投与を考えます。抗生剤はきちんと飲み切らないと、耐性菌が発生する可能性がありますので、必ず医師の指示に従って服用してください。

これらの治療は、小児耳鼻咽喉科学会が提唱している「小児急性中耳炎の診療ガイドライン(2009年版)」に基づいたものとなっています。

中耳炎で膿が溜まり、高熱が続くなど強い炎症が続くと、髄膜炎を引き起こすこともあります。そうしたことを防ぐためにも、中耳炎の症状が強い場合は、鼓膜切開術で膿を排出することがあります。切開部は数日で塞がり、後遺症が残ることはほとんどありません。特に免疫力か未熟な子供は高熱が長く続くことがあり、この鼓膜切開術は有効な治療法となっています。ただ子どもは処置で安静が保てない場合がほとんどなので、鼓膜切開が必要な場合は提携する医療機関に紹介をしております。

アレルギー性鼻炎

花粉やハウスダストがアレルゲンとなって発症するアレルギー性鼻炎は、現在低年齢化が進み、子どものアレルギー性鼻炎も増加傾向にあるとみられています。学童期にアレルギー性鼻炎を発症すると、鼻水・鼻づまりや、それらによって夜よく眠れないことで、日中、集中力が低下して、学習に支障をきたしたり、日常生活にも問題が出ることもあるので、子供のアレルギー性鼻炎は、早めに対処することが大切です。

ただし一方で子供は風邪をひきやすく、アレルギー性鼻炎の症状は、風邪でも同様の症状が現れます。保育園や幼稚園に通っていると、風邪の症状を繰り返すこともあり、アレルギー性鼻炎との見分けが難しい場合もあります。不必要な治療を行わないためにも、まず、しっかりと検査することが重要になります。

アレルギー性鼻炎は、鼻水(鼻汁)中の好酸球が陽性であること、抗原特異的血清IgE抗体検査の陽性または皮膚試験が陽性であること、鼻粘膜抗原誘発検査の陽性であることなどを満たすと診断されます。子どもの場合は、通年性(ダニの死骸などハウスダスト等がアレルゲンのもの)の場合が多く、様々なアレルゲンに反応しています。また喘息や副鼻腔炎を併発していることもあります。

子どものアレルギーの場合、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど、成長とともに症状が収まってくるものも少なくありませんが、アレルギー性鼻炎は、基本的には自然によくなることはなく、適切な治療を行っていく必要があります。

子どものアレルギー性鼻炎の治療は基本的には大人と同様で、まずアレルゲンを特定したうえで、それらをなるべく遠ざけるようにします。部屋をこまめに掃除し、布製のクッションやぬいぐるみなども、できれば置かないようにすることが望ましいと考えられます。その上で、抗ヒスタミン薬の内服薬や点鼻薬、吸入薬などの薬物療法を行います。

また、現在注目されている免疫療法のひとつ、舌下免疫療法は、子ども(5歳から)でも受けることができる治療法です。少し時間はかかりますが、早く始めることで、将来的にも症状の改善が期待できますので、お気軽にご相談ください。

舌下免疫療法